わたしは結婚する前の7年間、個人のエステサロンに勤め脱毛の施術をしていました。
先日、ママ友から「脱毛したのに最近また毛が生えてきた」と相談されました。
「全身脱毛をしていたけど最近またうっすら生えてきた。とくに気になるのはVIO」とのこと。
VIOは形を整える程度で毛を残していた、という人であればちょろちょろと毛が生えてきてもそこまで違和感を感じないかもしれません。
しかしVIOをつるつる(いわゆるハイジニーナ)にしようと脱毛していた人は、ちょろちょろとまばらに毛が生えてくることで見た目も汚いし不自然で気になってしまいますよね。
元々エステサロンで脱毛の施術をしてきたので、いろいろなお客様と接する機会が多くありました。
実際に「脱毛完了してたんだけど、子どもを産んだらまた毛が生え始めたのよね〜」
といって脱毛を再契約するお客様も何人かいらっしゃいました。
今回はそんな「脱毛完了後にまた毛が生えてきた」ということについて、サロンで働いていたときの経験を元に脱毛完了後にまた毛が生えてきた理由を解説していきます。
また、エステサロンで光脱毛を100回以上受け続けてきたわたしの産後の体毛の様子も一緒に解説していきます。
出産後にまた毛が生えてきた?!その理由を解説!
「産後また毛が生えてきた」
と言われたときにわたしが真っ先に思い浮かぶのは、
- 休止期に入っていた毛がまた生え始めた
- 照射漏れの箇所があった
ということです。
もちろんホルモンバランスの変化で毛が生えてくることもありますが、上記2点も大きく関わっているように思います。
後ほど詳しく解説しますが産前100回以上光を当て続けてきたわたしの全身は、出産を2回経験しましたが、妊娠中も産後も体毛に関しては特に変化が見られなかったからです。
光脱毛をしなくなってから4年ほど経ちましたが、現在もとくに毛が生えてきて困るということはありません。(厳密に言うと、光をあてた回数の少ないVラインに1本とIラインに数本生えてきていますが気になるほどではありません)
そういった経験から、産後に毛が生え始めたのは単にホルモンバランスの変化だけでなく、休止期や照射漏れが関わっているのではないかと思います。
それでは産後にまた毛が生えてきた理由をそれぞれ詳しく解説していきます。
1.ホルモンバランスの変化で毛が生えてきた
妊娠中に毛が濃くなってしまうことはよくあることで、ホルモンの影響によって起こります。
とくにお腹周辺の毛が濃くなったという方は多くいらっしゃいました。
しかし、出産後にホルモンバランスがきちんと整い、半年〜1年ほど経つとだんだんと薄くなり気にならなくなったという方がほとんどでした。
妊娠中や産後はホルモンバランスが大きく変化します。そのため体毛が濃くなったり生える部位に変化がみられるそうです。
女性は妊娠すると、妊娠以前の体と比べてホルモンバランスが変化します。まず、プロゲステロンという女性ホルモンの一種が多く分泌されるようになります。通常、妊娠をしなくとも、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが分泌されているのですが、妊娠中はプロゲステロンが多く分泌されるのが妊娠時のホルモンバランスの変化の特徴です。プロゲステロンは、毛周期の成長期を長くする作用があると言われており、妊娠中は「体毛が濃くなった、増えた」と感じる人が多くいます。
ムダ毛に関する5つの真実contents3-出産や加齢で毛はどう変わる?.ミュゼプラチナムの美容メディアmismos.https://musee-pla.com/mismos/hairremoval/datsumou-chisiki-contents3/(参照2024.11.29)
2.休止期に入っていた毛が生えてきた
体毛には「毛周期」という毛の生え変わりのサイクルがあります。
周期は大きく分けると
- 成長期
- 退行期
- 休止期
に分けられ、一定の周期で「抜ける」と「生える」を繰り返しています。
成長期
成長期は毛の核となる毛母細胞が毛細血管から栄養を取り込み細胞分裂を始め、毛球がつくられます。
毛球が育ち毛が伸び、皮膚の表面にまで到達すると目視で確認できるようになります。
その後も体毛は一定の長さになるまで細胞分裂をし、成長していきます。
退行期
退行期に移行すると毛根が毛乳頭から離れ細胞分裂がストップ。毛包の収縮が始まり毛が押し出され休止期に移行していきます。
休止期
休止期に入ると毛包は毛隆起部まで上昇します。毛を生産せずに「止まっている」状態。
毛乳頭は次の成長期のために休んでいる。
成長期
そして再び休止期から成長期に入ると毛包は分裂を開始し、下行して毛乳頭を形成。同じ毛包内に新たに毛が生じると休止期にある毛は抜け落ちる。
このように体毛は一定のサイクルで「生える」と「抜ける」を繰り返しています。
脱毛の光(レーザー)を照射すると、毛のメラニン色素(黒色)に反応して脱毛の効果を発揮します。
脱毛はこのメラニン色素が豊富な「成長期」の毛をターゲットに照射していきます。
退行期以降はメラニン色素が薄く照射しても反応しません。
また、退行期・休止期の毛は毛乳頭から離れてしまっているため、毛根にダメージを与えることができません。
先ほども述べたとおり脱毛は「成長期」の毛をターゲットとし効果を発揮します。
休止期や退行期の毛にはいくら光を照射しても脱毛効果はありません。時間が経てばまた成長期に入り毛が生えてきてしまいます。
そのため施術のタイミングとしては、1回目の施術後に休止期を終え、成長期に入った毛を再度、照射していく必要があります。
効果的に脱毛をしていくにはこの「毛周期」に合わせて施術を受けることが大切です。
毛の部位によって異なる休止期と成長期の期間
一般的にワキの毛は成長期から休止期に入るまでの期間が約4ヶ月、休止期から成長期が始まるまでの期間が約3ヶ月と言われています。(成長期4ヶ月、休止期3ヶ月)
表を見るとワキ・腕・VIOの毛は70〜80%が休止期にあることがわかります。結果、1回の施術でダメージを与えられるのは全体の10〜15%程度と言われています。
先ほど、脱毛を効果的におこなうには「毛周期」に合わせて脱毛していくことが大切とお話しました。
1ヶ所を脱毛したいのであれば、その部位の周期に合わせて脱毛していけば効率的に効果を実感できるでしょう。しかし全身(もしくは数か所)脱毛していくとなると完璧なタイミングというのは存在しません。
全身の毛がキレイに生え揃うことはありませんし、同じ部位でも毛穴によって差もあり、個人差もあります。
脱毛の効果を実感したいのであれば、根気強く定期的に、回数も重ねてしっかり通う必要があります。
わたしの働いていたサロンでは、基本的には2ヶ月おきに施術をしていました。何度か施術を繰り返していくと毛の本数が減ってきます。毛の本数が減ってくると施術後、次の毛が肌表面に伸びてくるまでの期間も長くなってきます。
そのため回数を重ねて何度か施術を受けているお客様は、毛の生え方を見ながら2ヶ月おきだった施術を3〜4ヶ月に伸ばして受けてもらうようにしていました。
脱毛をするのに完璧なタイミングは存在しませんとお伝えしましたが、回数を重ねていくと毛の伸びるタイミングにも変化が出てくると思います。毛の生えてくるペースが遅くなったなと感じたら、脱毛の間隔について施術者の方に相談してみてもいいかもしれません。
ちなみにわたしは、医療脱毛(レーザー)ではなく光脱毛の施術を16歳〜30歳までの14年間受けてきました。(研修で練習台になったり自分で当てたり、勤務する前の5年ほどは脱毛サロンに通っていました)
回数でいうと100回以上は照射してきたと思います。
そんなわたしは2人のこどもを妊娠・出産しましたが、毛が濃くなることも再び生えてくることもありませんでした。
100回以上の施術をしたおかげで、おそらくほとんどの毛根にダメージが加わり毛を生産する能力を失ったのではないかと思います。(毛は薄い方ではなく、幼少期から体毛で悩んでいたタイプ)
一般的に光脱毛よりも医療脱毛の方がエネルギーが強いので、通う回数は少なくて済みます。
光脱毛の場合はエネルギーが弱い分、回数を重ねる必要があります。
わたしの働いていたサロンには6回コース、12回コース、18回コースがありました。
12回コースを選ぶ方が多くいましたが、自分もそうでしたし実際に施術する側として多くのお客様を見て思うことは、サロンの光脱毛に12回通ってもすべての毛が無くなることはないということです。
もちろん脱毛をする前に比べると毛量が減るので、断然お手入れはしやすくなります。
このくらいになれば気にならないという方も出てくるでしょう。
ただ、12回でツルツルすべすべのお肌をゲットできるかというとなかなか難しいかもしれません。
「毛周期」でお伝えしたように各部位ごと毛の生え変わるタイミングがバラバラなので、部位によって毛のなくなり方に差が出てきます。
また、脱毛の回数を重ねていくと、施術をしてから次の毛が生えてくるまでの期間も長くなってきます。
そのため施術後半年間、毛が生えてこない状態にあったとしても急にまた毛が伸びてきたりします。これは休止期に入っていた毛が再び成長期に入り伸びてきたためです。
よく「産後また毛が生えてくるのなら産前に脱毛なんてしなければよかった」という声を聞きますが、わたしは決してそうは思いません。なぜなら産後の体毛が、脱毛を受ける前の状態に戻って、すべての毛が生え揃ってしまうわけではないからです。12回ほど毛周期に合わせてしっかり脱毛してきたのであれば、全体的に本数は減って自己処理をするのも楽になっていると思います。ただ、どうしても抜けにくい部位があるので、気になるようであれば部位別にまた脱毛に通うという方法もあります。再びサロンに通うのであれば、後述する機械の当て方などを参考に、丁寧に施術をしてくれるサロンを選ぶようにしましょう。
3.照射漏れの箇所があった
レーザーや光を当てたにもかかわらず部分的に毛が残っている場合は、照射漏れの可能性があります。
わたしが勤めていたのは光脱毛をおこなうエステサロンです。また、わたしが施術を受ける側として通っていたのも光脱毛のお店だったので、医療脱毛(レーザー脱毛)の施術の仕方については詳しくありません。
わたしの経験してきた範囲で”照射漏れ”について解説させていただきます。
照射の仕方
脱毛の光を当てるには、機械の当て方に注意しなければいけません。
ハンドピースの照射スポットが長方形の場合、図のように光の出る照射面とその縁の光のでない部分があります。
図のように機械を当てていくと、白い部分はきちんと照射できていますが、グレーの部分には光が当たらず照射漏れとなってしまいます。
漏れなく照射するには図のように、当てていないところが出ないように少しずつ重ねて当てていく必要があります。
わたしが働いていたサロンの脱毛機は連射式の機械を使っていました。
連射式の機械は、ハンドピースを常に動かしながら肌の上をすべらせて光を当てていきます。
ハンドピースは一定の速度で光を連射しているので、機械を動かすスピードが早すぎると当然当て漏れする箇所が出てきてしまいます。
逆に機械を動かすスピードが遅すぎるとヤケドの恐れがあり術者の技術が必要とされます。
ハンドピースを動かすスピードは早すぎても遅すぎてもいけないのです。
VIOの照射
足や腕など範囲の広い部位の脱毛は前述したように機械をすべらせながら照射をしていきますが、VIOや顔などの細かい部位は1発ずつ当て漏れのないように照射していきます。
VIOの脱毛は、構造が複雑なので機械を垂直に照射することが難しくなります。
とくにIラインOラインは体位を工夫し、シワができないよう皮膚を引き伸ばしながら丁寧に照射していきます。ジェルを塗ると滑りやすく皮膚を伸ばしづらくなるので、施術者の技量も関わってきます。
また、色素沈着をしている部位は脱毛の効果が出にくくなります。そのためVIOは一定期間が経過することで、再び毛が生えてくる可能性の高い部位かもしれません。
当て方は施術者によって変わる
わたしは新しいスタッフが入るたびに脱毛の練習台として施術を受けてきました。
施術者の中には、とても慎重で何をするにも丁寧な人もいれば、雑だな!と思う人もいました。
新人のときには何度も研修を重ね、もちろん照射漏れのないよう注意をしながら練習をしていきます。
研修に合格してやっとお客様の施術をすることができるのですが、慣れてくるとどうしても雑な面が出てきてしまいます。
もちろんスタッフはお客様を第一に考え照射漏れのないよう、丁寧に作業をおこなうことを念頭に施術をしていきます。が、中には雑な当て方をしてしまったり、施術を早く終わらせようとしてハンドピースを動かすスピードを早めてしまうことがあるかもしれません。
何度も練習を重ね研修中は丁寧におこなっていても、実際に施術をするときに監督がつくわけではないので、すべては施術をおこなうスタッフのさじ加減となります。
今後脱毛サロンに通うのであれば、できればいちどお試しで施術をお願いするのが一番確実かなと思います。体験の際は機械の動きが早すぎないか、丁寧に施術に取り組んでくれているかをしっかりと確認し、安心して任せられると思うスタッフにお願いしましょう。
照射漏れがあった場合は
わたしが勤めていたサロンでは、あきらかに照射漏れをしていた場合には後日、再照射させていただいていました。
ただし、”施術後◯日以内”と再照射可能な期間は決まっています。
サロンやクリニックによって方針は違いますが、照射漏れかな?と思ったらいちど相談してみてもいいかもしれません。
ハンドピースのランプ交換をしていない
光脱毛の機械で、直接肌に触れ光を照射する部分をハンドピースと言います。このハンドピースは永久的に使えるのかというとそうではなく、定期的にランプ交換をする必要があります。
なぜランプ交換をするのかというと、一定の使用回数を超えるとランプが劣化していき性能が低下してしまうためです。使い続けて劣化したランプは脱毛の効率を低下させたり、場合によっては火傷や皮膚トラブルをおこす危険性もあります。
ランプ交換をするタイミングは機械によって異なりますが、わたしのお店で使用していた機械は30万発でランプ交換をお願いしていました。ランプ交換にかかる費用はだいたい10万〜20万円。
ハンドピースのランプ交換をしないと全く使えないのかというとそうではなく、使用回数の上限を超えても光は同じように照射されますし使うことができます。そのため定期的にハンドピースの照射回数をチェックする必要があるのです。
ただ、定期的に10〜20万円かかるとなると大きな出費ですよね。使用回数の上限を超えても照射できてしまうので、上限を超えたとしてもまだ大丈夫だろうとそのまま使い続けてしまうサロンがあるとしてもおかしくありません。(実際に脱毛サロンに勤めているわたしの知り合いは、ハンドピースの交換をしてもらえずにそのまま使わされているという話を聞きました)
ランプ交換せずに使用し続けると火傷や皮膚トラブルをおこす危険性があるので、基本的にはきちんと交換していると信じたいところですが…。こればかりは見極めることもできないので、できるだけ信頼できるサロンを選ぶようにしてください。
産後の脱毛はいつから通える?
もし照射漏れしていた箇所や休止期にあった毛が再び生えてきてしまい、再び脱毛に通うことを決めた場合、産後すぐに脱毛をすることは可能なのでしょうか。
わたしが勤めていたサロンでは、”生理が順調にきてから”を目安に脱毛を再開していました。
サロンやクリニックによって産後1年あけて再開、授乳が終わってからなどそれぞれ目安となる期間が異なります。
脱毛を受ける際には自分の体調を注意深く観察し、スタッフに相談してから再スタートするようにしましょう。
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